今回は「カドミウム・鉛の排水処理」について勉強していきます。
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【カドミウム・鉛の化学的性質】
①カドミウムの化学的性質
②鉛の化学的性質
【カドミウム・鉛の処理方法】
①水酸化物沈殿法
カドミウム含有排水は水酸化カルシウム(消石灰)や水酸化ナトリウムのアルカリ剤を加えて、pHを10~11のアルカリ性にすると、難溶性の水酸化カドミウムが生成するので、これを沈殿分離する。
pH12以上にすると、生成したカドミウムがさらに水酸化物イオンと結合して再溶解してしまう。
アルカリ剤としては消石灰を用いることが多いが、排水中に硫酸塩が含まれていると、硫酸カルシウムの沈殿を生じ、汚泥の発生量が多くなるので、この場合では水酸化ナトリウムを用いるとよい。
鉛含有排水では消石灰などのアルカリ剤を加えてpH9~10にして、生成した水酸化鉛を沈殿分離する。鉛も高いpHでは再溶解するので注意しなくてはならない。
②置換法
クエン酸、グルコン酸、EDTA、アンモニアなど、錯体を生成している化合物には水酸化物処理法では処理できないので、こうした排水にカルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属を添加して、錯体を形成しているカドミウムや鉛と置換した後に、水酸化物にして沈殿分離する方法である。
③硫化物沈殿法
カドミウム、鉛の難溶性化合物のうち、硫化カドミウムが最も水に溶けにくい。しかし、硫化物とするために加える硫化水素や硫化ナトリウムの毒性や腐食性、臭気が問題となるため排水処理には適用される例は少ない。
④フェライト磁気分離法
鉄Ⅱイオンを含む溶液を添加して、水酸化ナトリウムなどで弱アルカリ性にしながら60~70℃で加熱、空気酸化させると黒色の強磁性を持つマグネタイトが生成される。これが最終的に黒色のフェライトとなる。この排水中に共存する金属イオンを結晶中に取り込んだフェライトを磁気的に分離する方法をフェライト磁気分離法という。
マグネタイトの生成条件は
⑤鉄塩法
鉄片を酸性溶液に浸漬させると、表面が溶解して新鮮な金属面が現れる。この金属表面は活性に非常に富んでいるので、鉄よりイオン化傾向の小さい重金属は、鉄片の表面に還元析出する。
⑥イオン交換法
カドミウムイオンや鉛イオンは陽イオン交換樹脂で除去できる。以下のキレート樹脂は排水処理の最後で使用されることが多い。
【まとめ】
■カドミウム、鉛と錯体を作るイオン
アンモニウムイオン、シアン化物イオン、塩化物イオン、クエン酸、酒石酸、EDTA
※クエン酸、酒石酸、EDTAは非常に安定な錯体を生成するので、水酸化物沈殿法だけでは除去できないので置換法を行ってから、水酸化物沈殿法を行う。
■難溶性の塩
炭酸カドミウム、硫化カドミウム
■両性水酸化物
水酸化カドミウムpH10~11で水酸化物、pH12以上で再溶解
水酸化鉛pH9~10で水酸化物、pH11以上で再溶解
■処理方法
水酸化物沈殿法、置換法、硫化物沈殿法、フェライト磁気分離法、鉄粉法 イオン交換法がある。
処理方法としては通常は水酸化物沈殿法(消石灰、水酸化ナトリウム)を用いるが、クエン酸、グルコン酸、EDTA、アンモニアなどの錯体では処理しきれないので、一度、カルシウムやマグネシウムといったアルカリ土類金属を添加して置換を行う。
硫化物沈殿法の実例はあまりないが、金属捕集剤を使用するほうほうが実用化されている。
フェライト磁気分離法や鉄粉法は汚泥発生量が非常に多くなります。
水質公害防止管理者の水質有害物質特論は難関科目ですが、一つずつクリアしていきましょう。
次回は「クロム(Ⅵ)排水の処理」について解説していきます。
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