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カドミウム・鉛排水の処理を徹底解説【水質有害物質特論①】

公害防止管理者 水質有害物質特論

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 カドミウム排水の処理

この記事では、水質関係公害防止管理者の水質有害物質特論に合格するのを目標として、勉強をしていきます。

今回は「カドミウム・鉛の排水処理」について勉強していきます。 

【カドミウム・鉛の化学的性質】

化学物質の性質としては以下の特徴があります。カドミウムと鉛で分けてみていきましょう。

①カドミウムの化学的性質

化学物質性質としては以下のポイントがあります。

化学的性質

・アルカリ性では水に難溶な水酸化カドミウムを形成する。

pH12以上では水酸化物イオンと結合して再溶解する。

・炭酸カドミウム、硫化カドミウムは水に難溶。

・クエン酸、酒石酸、EDTAとは安定な錯体を形成し、これらの錯体は水酸化物沈殿法では沈殿分離できない。

 

②鉛の化学的性質

化学物質としては以下のポイントがあります。

化学的性質

2価と4価のものがあるが、2価の方が安定。

・硫酸には溶解しない。

・硝酸、熱濃硫酸には溶解する。

・塩酸には少しずつクロロ錯体となって溶ける。

・硫化鉛、炭酸鉛、水酸化鉛、硫酸鉛、りん酸鉛は難溶性。

・クエン酸、EDTAとは安定な錯体を形成する。

 

【カドミウム・鉛の処理方法】

カドミウム・鉛の処理方法としては以下のものがあります。

①水酸化物沈殿法

カドミウム含有排水は水酸化カルシウム(消石灰)や水酸化ナトリウムのアルカリ剤を加えて、pH1011のアルカリ性にすると、難溶性の水酸化カドミウムが生成するので、これを沈殿分離する。

pH12以上にすると、生成したカドミウムがさらに水酸化物イオンと結合して再溶解してしまう。

 アルカリ剤としては消石灰を用いることが多いが、排水中に硫酸塩が含まれていると、硫酸カルシウムの沈殿を生じ、汚泥の発生量が多くなるので、この場合では水酸化ナトリウムを用いるとよい。 

 鉛含有排水では消石灰などのアルカリ剤を加えてpH910にして、生成した水酸化鉛を沈殿分離する。鉛も高いpHでは再溶解するので注意しなくてはならない。 

②置換法

 クエン酸、グルコン酸、EDTA、アンモニアなど、錯体を生成している化合物には水酸化物処理法では処理できないので、こうした排水にカルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属を添加して、錯体を形成しているカドミウムや鉛と置換した後に、水酸化物にして沈殿分離する方法である。

ポイント

・鉄塩を併用すると、共沈作用によって分離効果が高くなる。

・アンモニアやアミンの錯体には効果が無い。 

③硫化物沈殿法

 カドミウム、鉛の難溶性化合物のうち、硫化カドミウムが最も水に溶けにくい。しかし、硫化物とするために加える硫化水素や硫化ナトリウムの毒性や腐食性、臭気が問題となるため排水処理には適用される例は少ない。

ポイント

硫黄系の金属捕集剤を使用する方法が実用化

・金属捕集剤はザンセート其、ジチオカルバミド酸其を持つ化合物 

④フェライト磁気分離法

 鉄Ⅱイオンを含む溶液を添加して、水酸化ナトリウムなどで弱アルカリ性にしながら6070℃で加熱、空気酸化させると黒色の強磁性を持つマグネタイトが生成される。これが最終的に黒色のフェライトとなる。この排水中に共存する金属イオンを結晶中に取り込んだフェライトを磁気的に分離する方法をフェライト磁気分離法という。

 マグネタイトの生成条件は

生成条件とポイント

・反応温度60℃以上。

2NaOH/FeSO4=1(モル比)

EDTAが含まれる場合には、処理が不完全になる。

・過マンガン酸カリウムでキレート化合物を酸化分解する。

・過酸化水素と鉄塩を併用するフェントン法でもキレートを酸化分解できる。

・汚泥発生量が多くなるというデメリットもある。

⑤鉄塩法

 鉄片を酸性溶液に浸漬させると、表面が溶解して新鮮な金属面が現れる。この金属表面は活性に非常に富んでいるので、鉄よりイオン化傾向の小さい重金属は、鉄片の表面に還元析出する。

ポイント

・汚泥発生量が多くなる。

・実験室排水の処理に適している。

⑥イオン交換法

 カドミウムイオンや鉛イオンは陽イオン交換樹脂で除去できる。以下のキレート樹脂は排水処理の最後で使用されることが多い。

キレート樹脂の種類

・ポリアミン其

・ジチオカルバミド酸其

・チオ尿素其 

【まとめ】

■カドミウム、鉛と錯体を作るイオン

アンモニウムイオン、シアン化物イオン、塩化物イオン、クエン酸、酒石酸、EDTA

※クエン酸、酒石酸、EDTAは非常に安定な錯体を生成するので、水酸化物沈殿法だけでは除去できないので置換法を行ってから、水酸化物沈殿法を行う。

■難溶性の塩

炭酸カドミウム、硫化カドミウム

■両性水酸化物

水酸化カドミウムpH1011で水酸化物、pH12以上で再溶解

水酸化鉛pH910で水酸化物、pH11以上で再溶解

■処理方法

水酸化物沈殿法、置換法、硫化物沈殿法、フェライト磁気分離法、鉄粉法 イオン交換法がある。

処理方法としては通常は水酸化物沈殿法(消石灰、水酸化ナトリウム)を用いるが、クエン酸、グルコン酸、EDTA、アンモニアなどの錯体では処理しきれないので、一度、カルシウムやマグネシウムといったアルカリ土類金属を添加して置換を行う

硫化物沈殿法の実例はあまりないが、金属捕集剤を使用するほうほうが実用化されている。

フェライト磁気分離法や鉄粉法は汚泥発生量が非常に多くなります。

水質公害防止管理者の水質有害物質特論は難関科目ですが、一つずつクリアしていきましょう。

次回は「クロム(Ⅵ)排水の処理」について解説していきます。


koneka1208

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