前回は「シアン排水の処理」について解説していきました!
今回は「アンモニア・亜硝酸・硝酸排水の処理」について勉強していきます。
【アンモニア・亜硝酸・硝酸の化学的性質】
アンモニアは窒素の代表的な化合物で、水によく溶けてアンモニウムイオンを生成します。
亜硝酸は水溶液中では非常に不安定な化合物で、加熱すると硝酸に変化します。
化学式としては
3HNO2⇆HNO3+H2O+2NO
となります。
亜硝酸ナトリウムは有機化合物のジアゾ化反応、ニトロ化反応の試薬として用いられます。
【アンモニア・亜硝酸・硝酸の処理方法】
アンモニア・亜硝酸・硝酸の処理方法としては以下のものがあります。
詳しく見ていきましょう。
①生物処理
生物処理は、アンモニア体窒素、亜硝酸対窒素、硝酸対窒素を硝化菌、脱窒素菌の作用で窒素ガスにする方法です。
公害防止管理者の範囲としては「汚水処理特論」の範囲に入っています。
簡単にまとめると、
硝化脱窒素法はⅠ硝化工程とⅡ脱窒素工程の2工程からなります。
Ⅰ硝化工程
アンモニア性窒素を好気条件下で微生物処理し、亜硝酸性、硝酸性窒素まで酸化する工程。
Ⅱ脱窒素工程
亜硝酸性、硝酸性窒素を嫌気条件下で窒素ガスに還元し除去する工程。
②アンモニアストリッピング法
アンモニアストリッピング法は、排水のpHを高くしてアンモニアイオンをアンモニアガスに変えることで、大気中に揮散させる方法です。
アンモニアストリッピング法のポイントとしては、
③不連続点塩素処理法
不連続点塩素処理法は、排水に塩素を加えてアンモニアを窒素に分解する方法です。
アンモニア体窒素を含む排水に塩素を添加していくと3段階に進みます。
1段階目
アンモニア体窒素と塩素が反応してクロロアミン類が生成する。
クロロアミンにはものクロロアミン、ジクロロアミン、トリクロロアミンがあります。塩素と結合するにつれて、モノクロロアミンからトリクロロアミンになります。
2段階目
クロラミン類が分解して窒素ガスになるため、残留塩素濃度が減少する。
この一番低い点を不連続点(極小点)といいます。
不連続点までに添加する塩素量のことを塩素要求量といいます。
3段階目
塩素を消費するアンモニア体窒素が無くなるため、残留塩素量が増加する。
④イオン交換法
イオン交換法には、イオン交換樹脂やゼオライトを用いる方法があります。
陽イオン交換樹脂:アンモニウムイオン
陰イオン交換樹脂:亜硝酸、硝酸イオン
をイオン交換します。
⑤触媒分解法
高濃度のアンモニアを含む排水に空気を吹き込み、加熱、加圧することで、触媒と接触させます。触媒の作用でアンモニアを窒素ガスとして大気に放出させる方法です。
まとめ 水質有害物質特論「アンモニア・亜硝酸・硝酸排水の処理」の勉強
今回は、アンモニア・亜硝酸・硝酸排水の処理についての勉強を行いましたが、ポイントをまとめると以下になります。
生物処理ではアンモニア体窒素、亜硝酸対窒素、硝酸対窒素をを一括して処理することができます。
硝化工程は好気性で独立栄養細菌、脱窒素工程では嫌気性で従属栄養細菌が関与します。
アンモニアストリッピング法では排水はpH11程にして曝気することで、アンモニアを大気中に揮散させます。
不連続塩素処理は、塩素によりアンモニアを窒素に酸化分解する方法です。
イオン交換法ではアンモニアは陽イオン交換樹脂、亜硝酸、硝酸は陰イオン交換樹脂で除去することができます。
水質関係公害防止管理者試験の水質有害物質特論は難関科目ですが、一つずつ勉強していきましょう。
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