今回は「カドミウムと鉛の定量分析方法」について勉強していきます。
【カドミウム・鉛の分離濃縮方法】
カドミウムを定量分析する前には、まず、成分を分離濃縮させなくてはいけません。
カドミウムの分離濃縮方法には
があります。これらの抽出方法はカドミウム・鉛といった物質だけでなく、他の有害物質でも利用することができるので覚えておきましょう。
では、一つずつどういったものなのか見ていきましょう!
DDTC抽出方法
DDTC(N,N-ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム)はカドミウムをアルカリ性pH9で抽出します。
この時ほかの多くの金属塩素も同時に抽出されます。
溶媒にはMIBK(4-メチル―2―ペンタン)を用います。
APDC抽出方法
APDC(1―ピリジンカルボジチオ酸アンモニウム)は酸性pH2以上で抽出します。
pH3.5~4で硫酸アンモニウムの存在下でAPDC抽出すると多くの金属元素を抽出することができます。
溶媒にはMIBK(4-メチル―2―ペンタン)を用います。
キレート樹脂による分離
カドミウムをキレート樹脂が充填した層で分離濃縮させる。カドミウムの他、銅、亜鉛、鉛などの定量にも用いることができる。
分離濃縮方法のまとめ
分離濃縮はDDTC抽出方法とAPDC抽出方法のpHを覚えておきましょう。
で行われます。
【カドミウム・鉛の定量分析方法】
カドミウム・鉛の定量分析方法には
があります。一つずつ見ていきましょう!
フレーム原子吸光法
DDTCやAPDC抽出方法で前処理した試料を硝酸酸性にしたあと、アセチレン・空気フレームに噴霧し、波長228.8㎚の原子吸光を測定する。
電気加熱原子吸光法
前処理した試料を硝酸酸性にし、マトリックスモデファイヤーとして硝酸パラジウムⅡ溶液を加えます。
これを電気加熱炉に入れて原子化し、波長228.8㎚の原子吸光を測定してカドミウムの定量を行います。
ICP発光分光分析法
前処理した試料を硝酸酸性にした後、これを誘導結合プラズマ中に噴霧して、波長214㎚で測定し、カドミウムを定量します。
注意点として、前処理した試料中にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの濃度が高く、カドミウムの濃度が低い時は、試料に塩酸を加えて煮沸してpH5.2に調整し、APDCとHMDCを加えてキシレンで抽出し、誘導結合プラズマ中に噴霧します。
ICP質量分析法
前処理した試料を硝酸酸性とした後、これに内標準物質を加えて、誘導結合プラズマ中に噴霧し、生成したカドミウムイオンと内標準物質イオンの質量/荷電数におけるイオン電流を測定し、その比を求めます。
内標準物質にはイットリウム、インジウムを使用します。
まとめ
この記事では、水質関係公害防止管理者の水質有害物質特論に合格することを目標として、カドミウムと鉛の定量分析について解説しました。
カドミウムや鉛に定量分析を行う場合は、前処理として
での分離濃縮を行います。
定量方法には
があります。
水質関係公害防止管理者試験の水質有害物質特論は難関科目ですが、一つずつ勉強していきましょう。
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