ExcelのPower Pivotってなに？

 

power Pivotは、Microsoft Excelのアドインであり、大量のデータを分析し、複雑なデータモデルを構築するための強力なツールです。この機能を利用すると、Excelの通常のスプレッドシート機能を超えて、より大規模で高度なデータ分析が可能になります。

〇主な特徴

データモデルの作成: Power Pivotを使用すると、異なるデータソースからデータを取り込み、それらを関連付けて複雑なデータモデルを構築できます。これにより、大量のデータを効果的に統合し、分析できます。 

DAX (Data Analysis Expressions) 言語: Power Pivotでは、DAXと呼ばれる専用の言語を使用して、データを計算し、カスタムな計算列やメジャー（合計、平均など）を作成できます。DAXはExcelの通常の数式とは異なり、リレーショナルデータベースのような計算が可能です。 

メモリ内分析: Power Pivotはインメモリ分析エンジンを使用しており、大規模なデータセットでも高速に処理できます。これにより、リアルタイムでの分析や迅速な洞察の獲得が可能です。 

データの視覚化とレポート作成: Power Pivotで構築したデータモデルを元に、Power ViewやPower Mapなどの他のExcelツールを使用して、データを視覚的に表現し、洞察を得ることができます。 

Power Pivotは、Excel 2010以降のバージョンに含まれていますが、使用する前にアドインを有効化する必要があります。これにより、Excelをより高度なデータ分析ツールとして活用できるようになります。

〇使用例

Power Pivotの使用例の一つとして、異なるデータソースからのデータを結合して、洞察を得るというシナリオを挙げてみましょう。 

例として、以下の2つのデータソースがあるとしましょう。 

営業データ（Sales Data）: これは製品ごとの売上データで、製品ID、売上数量、売上金額などが含まれています。 

在庫データ（Inventory Data）: これは製品ごとの在庫情報で、製品ID、在庫数量、仕入れ価格などが含まれています。 

これらのデータをPower Pivotを使用して結合し、製品ごとの利益率（売上から仕入れ価格を引いたものの売上に対する割合）を計算してみましょう。

 Power Pivotを有効化: Excelの「ファイル」メニューから「オプション」を選択し、アドインの管理からPower Pivotを有効化します。 

データのインポート: Power Pivotタブに移動し、「データの取り込み」をクリックして、営業データと在庫データをインポートします。 

データモデルの構築: Power Pivotウィンドウで、製品IDを基に2つのデータテーブルを関連付けます。 

DAXを使用した計算: 新しい列を作成し、DAXを使用して利益率を計算します。例えば、次のようなDAX式を使用できます。 

利益率 = ([売上金額] - [仕入れ価格]) / [売上金額]

レポートの作成: Power Pivotで構築したデータモデルを元に、Excelの通常のスプレッドシートやPower Viewなどのツールを使用して、製品ごとの利益率を視覚化し、優れたデータインサイトを得ることができます。 

このような方法で、Power Pivotを使用して異なるデータソースを結合し、高度な計算や分析を行うことができます。これにより、大規模なデータセットに対しても迅速に洞察を得ることができます。

〇Power Pivotの応用

Power Pivotは、さまざまな業界やビジネス領域で様々な応用例があります。以下はそのいくつかの例です。 

・財務分析: 

複数の財務データソースからデータを結合し、キャッシュフローや収益性の分析を行う。

複雑な財務モデルを作成し、異なるシナリオに基づいて予測を行う。

・営業分析: 

複数の営業データソース（CRM、営業システムなど）を統合して、営業パフォーマンスを分析する。

セグメンテーションや地理的な視点から売上を可視化し、市場の動向を把握する。

・人事分析: 

人事データ（給与、労働時間、評価など）をPower Pivotで結合し、従業員の総合的なパフォーマンスを分析する。

タレントマネジメントやリソースの最適化のためのデータ駆動型の意思決定を支援する。

・小売業分析: 

在庫、販売、顧客データをPower Pivotで統合して、売上の傾向や商品の効果的な配置を分析する。

マーケティングキャンペーンの成功を追跡し、収益性の高い商品やサービスを特定する。

・製造業分析: 

製造プロセスにおける生産データ、品質データ、コストデータをPower Pivotで結合して生産効率を向上させる。

生産計画やサプライチェーンの最適化に関するデータ駆動型の意思決定をサポートする。

・プロジェクト管理: 

プロジェクト進捗、予算、リソースのデータをPower Pivotで一元管理し、プロジェクトの状況をリアルタイムで把握する。

リソースの最適配置やリスクの可視化によりプロジェクトの成功に寄与する。

これらは一般的な例であり、実際にはさまざまな業界や組織のニーズに合わせてPower Pivotを使用することができます。Power Pivotは大量のデータを効果的に処理し、高度な分析と意思決定をサポートするため、データ駆動型のビジネス戦略を展開する上で重要なツールとなっています。